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毎朝、カバンに文庫本を1冊入れて家を出る。今日こそ電車で読もうと思っている。それなのに、降りる駅で顔を上げたとき、本は行きと同じ場所に、同じ向きで入ったままになっている。
手に取っていたのは、いつもスマートフォンのほうでした。
自分自身、これを何年も続けていました。買ったときは間違いなく読むつもりだった本を、毎日律儀に持ち運んでは、一度も開かずに持ち帰る。ホームに降りて顔を上げた瞬間の、あの何も始まっていない感じは、今でもはっきり思い出せます。往復で1時間以上あるはずなのに、その時間から何も残らない。
そのうち、自分は読書に向いていないのだと思うようになりました。集中力がないから。意志が弱いから。そう片づけて、本を買っては積む生活が続きます。
書店で買った日は、帰り道の気分が少しだけ良くなります。今日から変わるような気がする。ところが、その本が机の上で3ヶ月ほど動かないまま、次の本を買っている。読んだ量ではなく、買った量だけが増えていきました。
読書法の記事も読みました。速く読む方法、要点だけ拾う方法、朝と夜のどちらが向いているかという話。どれも役に立ちそうでしたが、そもそも本を開いていないので、どの方法も出番がありませんでした。
ですが、5年間毎朝3時に起きて本を読むようになってから、見方が変わりました。同じ人間が、同じ本を、場所を変えただけで読めるようになったからです。
つまり、続かなかった原因は自分の性格ではなく、通勤電車という場所が、読書という行為にそもそも向いていなかったことでした。
この記事では、通勤読書が続かない理由を分解したうえで、電車を「読む場所」から外す対策を3つ紹介します。通勤時間を捨てるという話ではありません。読むことは別の時間に移し、通勤時間には通勤時間に合ったやり方を割り当てる、という置き換えの話です。
結論から書きます。通勤読書が続かないのは、読む力の問題ではなく、置き場所の問題です。
同じ本、同じ人、同じ体調でも、静かな部屋の机の上でならページが進みます。ところが電車の中では、同じ本が1ページも進みません。変わったのは環境だけです。
ここを取り違えると、「明日こそ集中しよう」という気持ちの話に戻ってしまい、翌日も同じ結果になります。まず、電車が読書にとってどれくらい不利な場所なのかを、具体的に見ておきます。
①片手がふさがり、姿勢が固定される
立っていれば片手はつり革です。座れても、隣との距離が近ければ本を大きく開けません。文庫本ならまだしも、単行本やビジネス書のサイズになると、ページをめくる動作そのものに気を使うことになります。読む前の段取りが多すぎるのです。
②数分おきに中断される
停車のたびに人が動き、自分も立ち位置を変えます。乗り換えの駅が近づけば、降りる準備のために意識が外へ向きます。読書は、前のページの内容を覚えたまま次の行を読む作業なので、数分ごとの中断と相性が悪い。中断されるたびに、少し前の行まで戻ることになります。
③同じカバンにスマートフォンが入っている
これがいちばん大きい理由です。本を開くには、カバンを開け、本を取り出し、しおりを外し、姿勢を作る必要があります。スマートフォンは、ポケットから出して親指を動かすだけです。疲れている行き帰りに、この差を意志の力で毎日ひっくり返すのは無理があります。
自分の場合も、読むつもりだった時間はすべて、誰が何を言ったという話を追いかける時間に変わっていました。読み終えて残るものは、特にありません。
いちばん確実だったのは、読書の置き場所を、通勤から朝の30分へ移すことでした。
朝の時間は、電車と条件が正反対です。両手が空いていて、姿勢を選べて、誰にも話しかけられません。停車駅もありません。同じ15分でも、進むページ数がまったく違います。
早起きが必要になりますが、いきなり3時に起きる必要はありません。今より30分早く起きて、そのうち15分を読書に割り当てるだけで、通勤の往復1時間より多く読めます。実際、読む量を決めずに「15分だけ」と決めたほうが続きました。

朝に移すときのコツは、前の晩に、開いた状態の本を机の上に置いておくことです。カバンから取り出す手間が残っていると、朝でも同じことが起きます。机の上に本があれば、椅子に座った時点で読み始められます。
通勤時間そのものを捨てる必要はありません。目で読むのをやめて、耳で聴く読書に切り替えると、電車の不利な条件がほとんど消えます。
つり革を握ったままで構いませんし、混雑していても姿勢を変える必要がありません。乗り換えで歩いている間も続きます。中断されても、少し戻して聴き直すだけです。
自分が使っているのはAudibleです。プロのナレーターが読み上げた本を耳で聴けるサービスで、12万以上の作品が聴き放題の対象になっています。30日間の無料体験があるので、通勤時間が自分に合うかどうかを、お金をかけずに試せます。合わなければ体験期間内にやめられます。
倍速で聴けるのも、通勤との相性がいい点です。片道30分なら、往復で1時間。1.5倍で聴けば、実質1時間半ぶんの内容が入ります。

活字で読みたい本が多い場合は、Kindle Unlimitedという選択肢もあります。月額で対象の電子書籍が読み放題になるサービスで、スマートフォンにあらかじめ数冊入れておけば、カバンから本を取り出す手間がなくなります。スマートフォンを開くという動作は同じでも、開いた先に本があるかどうかで結果が変わります。
意外と効いたのが、読まない本を持ち歩くのをやめることでした。
読まれないまま毎日往復する本は、「今日も読まなかった」という記録を作り続けます。カバンを開けるたびに背表紙が目に入り、そのたびに小さな後ろめたさが積もる。この後ろめたさは、読書を始める力にはならず、本から遠ざかる理由にしかなりませんでした。
朝に読む本は机に置き、通勤では耳に切り替える。そう決めてから、カバンの中は軽くなりました。

通勤で目で読みたい日もあります。その場合に決めているのは、次の2つだけです。
条件を先に決めておくと、読めた日は素直に進み、読めなかった日は自己嫌悪が残りません。続けるうえで邪魔になるのは、読めなかった日の後ろめたさのほうです。
通勤読書が続かないのは、集中力や意志の問題ではありませんでした。電車という場所が、読書という行為に向いていなかっただけです。
場所を変えただけで、同じ人間が同じ本を読めるようになります。うまくいかない習慣を見つけたら、自分を責める前に、その習慣がどこに置かれているかを見てみてください。
なお、この記事で触れた「続かない習慣の置き場所を変える」という考え方については、私のKindle本『三日坊主さんの朝活』でも、根性ではなく仕組みで続けるための具体的な工夫として詳しく書いています。全15章・500円で、Kindle Unlimited(読み放題)の対象なので、対象の方は追加費用なく読めます。三日坊主で終わってしまう方に向けて書いた一冊なので、よければあわせてご覧ください。
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「明日こそ自分を変えたい」と願いながらスヌーズを繰り返す。そんな出口のない日々を、私は2021年に卒業しました。現在40代の会社員として働きながら、毎朝3時に起きてブログや副業、資産運用を淡々と積み上げています。私は決して意志の強い人間ではありません。むしろ自分の弱さを知っているからこそ、気合や根性を捨て、AIや「仕組み」で自分を動かす技術(メタ認知)を磨いてきました。
かつては他人の目や「こうあるべき」という社会の理想に振り回され、反応的な不安に支配されていました。しかし、ジャーナリングで思考を客観視し、コントロールできる領域へ一点突破することで、精神的な自由を手に入れました。不必要な付き合いを断って家族との時間を守り、SNSの消耗戦を抜け出して自分だけの資産を築く。このブログでは、特別な才能がない凡人が、5年後、10年後の自分から感謝されるための「静かな生存戦略」を共有しています。
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